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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 今のヒロシマどう映る

 先日、約30年ぶりに広島赤十字・原爆病院(広島市中区)を訪れた。新築・改修したのは知っていたが、吹き抜けのしゃれたロビーに面食らいながら、人間ドックの受付に向かった。

 小学生の頃、被爆者の祖母の見舞いで通っていた。あいさつし、話に飽きてくると、売店を探して古びた病院内を弟とうろうろ。病床の祖母の記憶は、さほどない。被爆体験も聞かぬまま、がんで亡くなった。

 市政担当になり、平和報道に携わる機会が増えると、そんな祖母の顔を思い出すようになった。「未来志向」で結ばれたという平和記念公園と米パールハーバー国立記念公園との姉妹公園協定の取材時もそう。おばあちゃんなら、どう思う?

 被爆から78年、人も街も変わりゆく。ヒロシマはどう映るのか。古今の被爆者に問うてみたい。(社会担当・野平慧一)

(2023年10月24日朝刊掲載)

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