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原爆供養塔の鉢 長男が修復確認 60年前に鹿児島の故木場さんが寄贈

 平和記念公園(広島市中区)の原爆供養塔の献花鉢を60年前に寄贈した男性の長男木場修一さん(62)=三重県鈴鹿市=が27日、現地を訪れた。石製の鉢は、原爆慰霊碑前から現在地に移り、2年前にはセメントのようなもので埋められているのが見つかった。心を痛めていた木場さんは、修復された姿を確認し、父の優しさに思いをはせた。

 鉢は高さ56センチ。正面には「献納」と彫られ、側面には「木場昭春」とある。木場さんによると、鹿児島県鹿屋市に住んでいた父昭春さんは2016年に85歳で亡くなった。原爆とのゆかりはなかったが、平和記念公園で地面に置かれた花を見たときに「かわいそう」と感じ、石材店に頼んで鉢を作り、1963年に広島市に贈ったという。

 鉢は21年に被害に遭った後、広島市が修復した。修復された姿を見たいと思いながら、新型コロナウイルスの影響で来られなかった木場さん。鉢を水ですすいで、原爆犠牲者の安眠を祈った。供養塔を見学していた小学生たちにも鉢の由来を説明し「一時はもう撤去してもいいと考えたけど、こうして見てもらえるとおやじも気持ちがいいと思うよ」と話した。(衣川圭)

(2023年10月28日朝刊掲載)

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