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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 祖母証言 ドイツで放送

 先日、1本の動画がメールで届いた。5月に広島であった先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせドイツ公共放送ARDが流したニュース映像だ。

 89歳の私の祖母が、自らの被爆体験や、原爆死した父親への思いを語っている。ドイツ語の吹き替えで、数分間。作り手の共感が伝わってくる内容だ。

 ARDのディレクターが取材で広島に滞在中、話す機会を得た。かねて核兵器を巡る国際情勢を追っているが「被爆者と会ったことはない」という。そこで祖母への取材を提案した。

 私自身は原爆や核兵器の問題について記事を書く時、被爆者たちの顔を思い浮かべる。核兵器を巡る国際情勢に翻弄(ほんろう)されるのは、市井に暮らす一人一人の命である。祖母との出会いが、そう実感するきっかけになればうれしい。(平和メディアセンター・新山京子)

(2023年10月31日朝刊掲載)

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