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「地獄のような体験」知って 福山の藤井さん 当事者や遺族の声伝える 満蒙開拓義勇軍の足跡 2・26日講演会

 戦時中に国策で旧満州(中国東北部)に渡り、厳しい寒さの下、訓練や農業に従事した「満蒙(まんもう)開拓青少年義勇軍」の足跡を紹介する活動に、福山市引野町の藤井和寿さん(76)が力を入れている。「若者たちが戦争に振り回され、命を落としたことを知ってほしい」と生還した当事者や遺族から聞き取りを進めてきた。2、26日に市内で講演会を開く。

 藤井さんは引野公民館館長だった2015年、戦時中の引野村(現引野町)の暮らしや福山空襲に関する証言をまとめた本を地域住民と発刊。村出身の義勇軍についても記載したが「もっと詳しく知りたい」と遺族を訪ね、史料を集めてきた。10月に初の学習会を引野交流館で開いた。

 学習会で藤井さんは、村出身の義勇軍19人中9人が戦死したり戦後の混乱で亡くなったりしたと説明。義勇軍の志望理由で目立つのは、学校の先生が強く勧めたことだったとした。敗戦後にシベリア抑留を経験し今年1月に亡くなった三好亀一さんや、現地の炭鉱で働き発疹チフスで亡くなった藤井工さんの遺族の声も紹介した。

 藤井さんは「年若い人が地獄のような体験をした事実がそれほど知られていない。体験者や家族が高齢化する中、代わりに伝えたい」と話す。調査を続け本にまとめる。

 2日の講演は梶島山会館(引野町)で午後7時から。26日は午後2時から、元義勇軍で「満蒙開拓平和通信」を発行する末広一郎さん(98)=広島市安芸区=が市民参画センター(本町)で話す。26日は参加費300円が必要。藤井さん☎090(8065)7891。(原未緒)

(2023年11月1日朝刊掲載)

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