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「空白の天気図」 走るペン 広島で柳田邦男氏直筆原稿展示

 原爆投下直後の広島地方気象台員の奮闘を描いたノンフィクション「空白の天気図」の直筆原稿が、広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で開催中の同名の企画展で展示されている。著者の柳田邦男氏(87)から借り受け、来年2月中旬まで公開する。

 400字詰め原稿用紙約700枚に、万年筆で加筆したり書き直したりしながら推敲(すいこう)を重ねた跡がうかがえる。今秋、柳田氏が自身の資料を整理中に見つけた。企画展に合わせ、同館が6日から期間限定で展示したという。

 来場したフリーライターの内山美砂さん(28)=同市佐伯区=は「字が流れるように書かれていて、柳田さんが取材で感じた思いを一気に書き上げたのかなと想像できる」と眺めていた。

 同作は1975年に刊行。45年8月の原爆投下と翌9月の枕崎台風という二重の災厄に襲われた広島を描く。企画展では当時の気象台員の体験記なども紹介している。来年2月29日まで。無料。(頼金育美)

(2023年11月8日朝刊掲載)

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