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旧日銀広島支店 50年代の色合い 復元し開館 被爆跡残す

 復元工事を終えた被爆建物の旧日本銀行広島支店(広島市中区)が9日、開館した。原爆の爆風によるガラス片が刺さった跡などを残し、戦後間もない1950年代の壁や天井の色合いに戻した。近く国史跡になる予定で、市は国重要文化財の指定も目指している。

 天井などのしっくいを現状保存し、壁の色は白から50年代当時の淡いクリーム色に変えた。天窓の縁は塗装を剝がし、赤褐色の銅がのぞく。2階の支店長室は、木材を組み合わせた「寄木(よせぎ)張り」の床や天井の装飾も見えるようにした。

 1、2階の鉄製ドア枠3カ所には、チークやオークに似せた模様を描く「木目塗り」を施した。これまでの塗装の下から見つかった彩色技法で、戦前の重厚なつくりを模した。木目塗りの一部は36年の建設当時のまま残したという。

 復元工事は人手不足などで業者が決まらず、当初の計画から約5年遅れの昨年3月に開始した。今年9月に完了し、総事業費は約2億6700万円。市文化振興課は「原爆に耐えて復旧した建物。館内で歴史を知り、平和の尊さを感じてほしい」としている。

 入館無料。地下1階では海外移民の歴史を紹介する常設展示をする。開館時間は午前10時~午後5時。(宮野史康)

(2023年11月10日朝刊掲載)

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