ワルシャワ蜂起 広島で回顧 来年80周年 16日から展示 映画上映も
23年11月14日
毎年その日のその時刻、ポーランドの首都ワルシャワでは市内にサイレンが流れ、人々は1分間の黙とうをささげるという。1944年、ナチスドイツからの解放を期して「ワルシャワ蜂起」が決行された8月1日の午後5時。来年で80周年を迎える蜂起について展示や映画で伝える催しが、同じく第2次世界大戦で都市が壊滅した歴史を刻む広島市で開かれる。(編集委員・道面雅量)
展示は「ワルシャワ。灰の中から甦(よみがえ)る不死鳥」と題し、旧日本銀行広島支店(中区)で16日から開かれる。現地のワルシャワ蜂起博物館などが主催。広島市が平和文化月間(11月)の行事として受け入れる。
ワルシャワ蜂起は2次大戦後期、ポーランドを占領していたドイツがソ連の巻き返しで敗色が濃くなる中で企図された。国内軍(レジスタンス)に市民が呼応して占領軍(ドイツ軍)に対し市街戦を展開したが、ソ連の進軍援助がないまま、2カ月でほぼ鎮圧される。ワルシャワはドイツ軍に徹底的に破壊され、同博物館によると、一般市民だけで13万~15万人が犠牲になったという。
展示は、蜂起の経過や、2次大戦を挟むポーランドの歴史を説くパネルや映像で構成。被爆地広島との関連を意識し、廃虚からの復興についても多く触れる。来年2月5日まで。入場無料。12月12~14日と同29日~1月3日は休み。
戦後の冷戦下、ポーランドはソ連の陣営に属すが、蜂起したワルシャワ市民を「見殺し」にしたともいえるソ連への国民感情は映画などに暗喩的に表現され、冷戦終結後はより直接的に言及されていく。蜂起を題材にした3本の映画が11月17~19日、広島市映像文化ライブラリー(中区)で上映される。
ポーランドを代表する巨匠、故アンジェイ・ワイダ監督の「地下水道」(1956年)は、ドイツ軍に追い詰められ、地下水道をさまようレジスタンスを描いた名作。戦争映画として迫力のある「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」(2014年)、ドキュメンタリー「ワルシャワ蜂起」(同)も上映する。鑑賞料は大人380円など。
上映前にワルシャワ蜂起博物館スタッフや、広島大で博士号を取得したポーランド出身のウルシュラ・スティチェック・ボイエデさんの解説がある。各回15分めど。ウルシュラさんは「がれきと化した都市の記憶、復興の精神をワルシャワと広島は共有している。(パレスチナ自治区)ガザの今にも重ね、私たちが歴史に学んで何をすべきか考える機会にしたい」と話す。
(2023年11月14日朝刊掲載)
展示は「ワルシャワ。灰の中から甦(よみがえ)る不死鳥」と題し、旧日本銀行広島支店(中区)で16日から開かれる。現地のワルシャワ蜂起博物館などが主催。広島市が平和文化月間(11月)の行事として受け入れる。
ワルシャワ蜂起は2次大戦後期、ポーランドを占領していたドイツがソ連の巻き返しで敗色が濃くなる中で企図された。国内軍(レジスタンス)に市民が呼応して占領軍(ドイツ軍)に対し市街戦を展開したが、ソ連の進軍援助がないまま、2カ月でほぼ鎮圧される。ワルシャワはドイツ軍に徹底的に破壊され、同博物館によると、一般市民だけで13万~15万人が犠牲になったという。
展示は、蜂起の経過や、2次大戦を挟むポーランドの歴史を説くパネルや映像で構成。被爆地広島との関連を意識し、廃虚からの復興についても多く触れる。来年2月5日まで。入場無料。12月12~14日と同29日~1月3日は休み。
戦後の冷戦下、ポーランドはソ連の陣営に属すが、蜂起したワルシャワ市民を「見殺し」にしたともいえるソ連への国民感情は映画などに暗喩的に表現され、冷戦終結後はより直接的に言及されていく。蜂起を題材にした3本の映画が11月17~19日、広島市映像文化ライブラリー(中区)で上映される。
ポーランドを代表する巨匠、故アンジェイ・ワイダ監督の「地下水道」(1956年)は、ドイツ軍に追い詰められ、地下水道をさまようレジスタンスを描いた名作。戦争映画として迫力のある「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」(2014年)、ドキュメンタリー「ワルシャワ蜂起」(同)も上映する。鑑賞料は大人380円など。
上映前にワルシャワ蜂起博物館スタッフや、広島大で博士号を取得したポーランド出身のウルシュラ・スティチェック・ボイエデさんの解説がある。各回15分めど。ウルシュラさんは「がれきと化した都市の記憶、復興の精神をワルシャワと広島は共有している。(パレスチナ自治区)ガザの今にも重ね、私たちが歴史に学んで何をすべきか考える機会にしたい」と話す。
(2023年11月14日朝刊掲載)