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核兵器関連投融資 15社禁止 国内大手・中国地方金融機関アンケート 

禁止条約採択後に対応

 核兵器禁止条約の第2回締約国会議を前に、中国新聞社が国内大手と中国地方の金融機関計25社を対象にしたアンケートで、15社が核兵器関連の企業や事業に投融資をしない方針を定めていることが分かった。いずれも2017年7月に禁止条約が国連で採択された後に対応。核兵器を非人道兵器として全面的に違法化した初の国際条約の影響がうかがえる。(宮野史康)

 19社が回答した。うち、核兵器や関連製品を製造する企業への投融資を禁止しているのは三井住友フィナンシャルグループ(FG)、西京銀行(周南市)、中国銀行(岡山市北区)、山陰合同銀行(松江市)など7社。別に三菱UFJFG、ひろぎんホールディングス(HD、広島市中区)、山口FG(下関市)、鳥取銀行(鳥取市)などの8社は禁止対象を事業に限っている。

 これら15社が方針を決めた時期は17年9月~23年8月。理由(選択式、複数回答可)は「核兵器は非人道的な兵器だから」が14社と最も多い。次いで「国内外の金融機関の動向を参考にした」が8社、「顧客や機関投資家から批判を受け、事業活動や資金調達に支障が出る恐れがある」が6社だった。

 一方、核兵器関連の企業や事業の定義・基準を持つのは8社にとどまった。日本生命保険は「核弾頭や核ミサイル全体を製造する企業、核弾頭や核ミサイル専用に開発された部品を製造する企業など」とし、ミサイルや関連部品を含む。

 投融資の禁止方針を定めていない4社は「把握できないケースを含め、結果的に核兵器に転用されてしまい、禁止する方針に抵触するリスクを排除できない」(東京海上HD)、「核兵器の禁止に関し日本国としての方針(条約批准など)が示されていない」(かんぽ生命保険)などを理由に挙げた。

 金融機関による核兵器関連産業への投融資を巡っては、国際非政府組織(NGO)が調査、報告し、市民に啓発するプロジェクトを続けている。同産業への資金を断ち、廃絶への圧力にする狙い。今月27日に米ニューヨークの国連本部で始まる禁止条約の第2回締約国会議に合わせ、現地で関連行事も開かれる。

 ≪調査の方法≫国内の銀行や保険、証券の大手17社と中国地方の地場銀行8社を対象にし、10月中旬にアンケートをメールで送付した。うち明治安田生命保険、MS&ADHD、野村HD、大和証券グループ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、島根銀行(松江市)を除く19社が11月中旬までに回答を寄せた。

(2023年11月19日朝刊掲載)

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