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中国残留邦人ら交流教室自主開催 国の補助金減 広島市で休止 日本語講座や交通費支給は困難

 広島市の中国残留邦人たちの交流教室が国の補助金削減で休止したのを受け、当事者たちの団体が今月から自主的な教室を始めた。外出の機会を確保して孤立を防ごうと、無料の施設を借りボランティアで運営する。ただ資金不足で講師料が払えず、生活が苦しい参加者への交通費の支給もストップしている。

 残留邦人や家族でつくる「市中国帰国者の会」が、中区の市中央老人福祉センターで開く。舞踊や歌、介護予防など5種類の教室を日替わりでほぼ毎日続け、60~80代の残留邦人や家族の十数人が参加している。

 戦後に旧満州(中国東北部)で残留孤児になり1996年に帰国した猪足(いのあし)淑美さん(80)=東区=は「日本語は苦手。ここは気持ちが楽になる」と歓迎する。残留孤児2世の初柴敏男さん(69)=安佐北区=は「毎日来たいが交通費の負担が重い」と訴える。

 講師不在で日本語教室が開けないのも悩みだ。会の事務局を担う劉計林さん(67)は「これまで通り講師料や交通費を補助してほしい」と国や市に求めている。(小畑浩)

(2023年11月21日朝刊掲載)

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