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広島県、269億円補正案 被服支廠の年度内着工断念へ

 広島県が物価高対策などを盛り込んだ269億6千万円の本年度一般会計補正予算案を編成する方針を固めたことが21日、分かった。広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の耐震化費用の計上は見送り、本年度の着工を断念する。12月7日開会の県議会定例会に予算案を提出する。

 複数の関係者によると、新規事業では子牛の繁殖農家の緊急支援事業に1億6300万円を充てる。飼料の高騰で肥育農家の経営が厳しくなり、子牛の取引価格が下がっているため、県が減収分の一部を負担する。

 このほかの新規事業は、人手不足対策として県内企業にデジタルサービスの導入費用を補助する事業に1億7千万円、運輸業者の生産性向上を支援する事業に5億9100万円を計上。公共事業費は153億6200万円を盛り込む。

 被服支廠は県所有3棟の耐震化工事を本年度から順次着工する予定だったが、財源確保の見通しが立っていないため、事業費を盛り込まない。予算計上は早くても来年度の当初予算案となる見通しで、本年度内の着工は困難になった。

 耐震化費用は少なくとも1棟当たり5億8千万円。県は単独での耐震化工事は難しいとして、国重要文化財に指定した上で財政支援をするよう文部科学省に要望している。(河野揚)

(2023年11月22日朝刊掲載)

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