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「原爆の絵」 制作振り返る 中区でフォーラム 基町高生ら発表

 原爆や平和について考える市民向けの連続講座「ヒロシマ・ピースフォーラム」が25日、広島市中区の原爆資料館であった。基町高(中区)の生徒や大学生が「原爆の絵」を描いたり、被爆前の写真をカラー化したりする取り組みを紹介。惨禍の記憶を継承する大切さを共有した。(高木潤)

 基町高は2007年から、生徒が被爆者の体験を聞き取って絵を制作する活動を続ける。この日の講座では、いずれも創造表現コース2年の益田姫奈さん(17)と持田杏樹さん(17)、卒業生で広島大教育学部3年の原田真日瑠さん(20)が登壇。自作の油絵計4点を隣に置き、被爆者から話を聞く様子などをスライドで映し出した。

 持田さんは7月、原爆で父親を失った男性の体験談を基にした作品を仕上げた。火葬場のすす混じりの霧の中で父親の遺骨を拾った風景を再現。「霧は犠牲者たちの魂が無念の涙を流したような色だった、との男性の言葉が印象に残った」と振り返った。

 東京大教育学部4年の庭田杏珠さん(21)=東区出身=は被爆前の広島の写真を収集し、爆心直下の旧中島地区などの日常をカラー化してきた。人工知能(AI)技術で色を施し、関係者への聞き取りで修正を加える過程を説明し「被爆前の日常が一瞬で奪われた」と強調した。

 連続講座は市や広島平和文化センター(中区)などの主催で、この日は受講者たち約100人が聞いた。本年度は5~7月の前期と10~12月の後期で計6回開く。

(2023年11月26日朝刊掲載)

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