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映画「愛と死の記録」 蔵原監督の遺品 シナリオ寄贈 親族、広島の図書館に

国際映画祭が契機

 吉永小百合と渡哲也が主演し、広島で撮影した映画「愛と死の記録」(1966年)。蔵原惟繕(これよし)監督(2002年に75歳で死去)が残した同作品のシナリオやノートが、広島国際映画祭での上映をきっかけに、広島市立中央図書館(中区)へ寄贈されることになった。

 4歳で被爆した印刷会社勤めの男性と、楽器店で働く女性が恋に落ちる物語。市映像文化ライブラリーがフィルムを所蔵し、23日上映された。

 「憎いあンちくしょう」「南極物語」などで知られる蔵原監督。呉市で海軍特別幹部練習生となり、8月6日は広島への原爆のきのこ雲を見た。シナリオは撮影決定稿と2段階の準備稿の3冊。カット割りを細かく記し、注いだ熱量が伝わる。ノートには、きのこ雲のスケッチがある。

 寄贈する親族の梅沢文子さん(72)=横浜市=は「フィルムが大切に保管され、鑑賞されていることに感激した」と喜ぶ。「原爆ドーム内で撮影した話はよく聞いた。広島での経験が創作の原点にあり、生きることが生涯のテーマとなったのでしょう」と話した。(渡辺敬子)

(2023年11月25日朝刊掲載)

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