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奪われた妹の日記胸に証言 自身も被爆 広島の細川さん死去 長男「バトン引き継ぐ」

 26日に95歳で亡くなった広島市の被爆者細川浩史さんは、被爆死した妹の日記を紹介し、原爆の惨禍を訴えてきた。長男の洋さん(64)=中区=は「平和への思いを引き継ぐ」とかみしめる。

 細川さんは17歳の時、爆心地から約1・3キロの広島逓信局(現中区)で勤務中に被爆。県立広島第一高等女学校(県女、現皆実高)1年生だった妹の森脇瑤子さん=当時(13)=は土橋町(現中区)付近で建物疎開の作業に動員されていて、収容先で亡くなった。

 瑤子さんが前日まで付けていた日記を基に、細川さんは1996年に著書を出版。「短い青春の日々をいつも明るく懸命に生きた」とつづり、制服などの遺品も原爆資料館に寄贈した。

 市のピースボランティアや被爆体験証言者として活動し、2004年には広島国際文化財団の「広島世界平和ミッション」に参加。核兵器保有国の英仏などで原爆被害の悲惨さを語った。「家族伝承者」として記憶を語り継ぐ洋さんは「平和のバトンを父から引き継ぎ、瑤子の日記とともに多くの人に伝えたい」と話している。(和多正憲)

(2023年11月29日朝刊掲載)

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