×

ニュース

[核兵器禁止条約 第2回締約国会議] 広島知事 パネル討議に登壇 抑止論からの脱却 強調

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核兵器禁止条約の第2回締約国会議は28日、パネル討議と一般討論をした。広島県の湯崎英彦知事は「核兵器に頼らない抑止の姿を示す必要がある」と強調。各国の政府代表も核抑止論からの脱却を相次ぎ訴えた。(ニューヨーク発 宮野史康)

 湯崎知事は核兵器の禁止を進める手だてを探るパネル討議に登壇した。核抑止に依存しない安全保障の必要性に触れた上で、2030年に期限を迎える国連の持続可能な開発目標(SDGs)の次の目標に「核兵器のない世界の実現」を位置付ける県の活動を紹介。「分野を超え、持続可能な未来に向け一緒に取り組もう」と呼びかけた。

 一般討論では、昨年6月の第1回会議で議長を務めたオーストリア外務省のクメント軍縮局長が、核抑止論は人類の安全を脅かしているとして「禁止条約は、まっとうな安全保障の懸念に基づいている」と指摘した。核兵器保有国や拡大核抑止に頼る国を念頭に「誠実で事実に基づく国際的な対話」を求めた。

 南アフリカの代表も、軍事や安全保障で核兵器への依存を深めようとする国の増加に言及。「核不拡散体制に背き、全体の安全の強化に貢献しない」と主張した。

「非人道性 訴え続ける」 高校生平和大使 反核集会でスピーチ

 核兵器禁止条約の締約国会議に市民団体から派遣されている広島、長崎の高校生平和大使2人が28日、米ニューヨークの国連本部前であった反核集会でスピーチした。

 AICJ高1年尾崎心泉(こころ)さん(16)=広島市南区=は、被爆地で戦後も続いた放射線被害や差別について紹介。「言葉の力で核兵器の非人道性を訴え続ける」と宣言した。長崎東高2年安野美乃里さん(17)=長崎県諫早市=は「違いを否定せず、人の痛みを理解し、武器に頼らない持続可能な平和を目指そう」と呼びかけた。

 集会は米国の反核・平和団体が主催、日本原水協が協力し、約300人が参加した。広島で被爆した愛知県原水爆被災者の会(愛友会)の金本弘理事長(79)もマイクを握り、「生きている間に核兵器を廃絶してほしい」と訴えた。

(2023年11月30日朝刊掲載)

年別アーカイブ