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広島原爆写真を申請 政府 ユネスコ「世界の記憶」

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」の国際登録へ、政府は29日、広島市と中国新聞社など報道機関5社による「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」の申請書をユネスコに提出した。資料保存の専門家たちによる審査を経て、2025年春にユネスコ執行委員会で可否が決まる見通し。

 資料は、被爆した市民や報道カメラマンをはじめ27人・2団体が、1945年8月6日から45年12月末までに撮影した原爆写真1532点と動画2点。保存や活用に関わる広島市、中国新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、中国放送、NHKの6者が共同申請した。

 申請書は英文で、資料の重要性などを記し、目録や広島、長崎の被爆者団体の代表者が署名をした登録支持表明の文書も添える。もう一つの推薦案件である「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書(そうしょ)」の申請書とともに、文部科学省がユネスコへ電子データを届けた。

 今後、専門家たちでつくる登録小委員会が受領可能と判断すれば、登録基準を満たすかどうかを1次審査。登録や却下、再提出などの措置を国際諮問委に勧告する。続いて、国際諮問委も審査に当たって同様に措置内容を判断。この勧告を踏まえ、加盟58カ国で構成するユネスコ執行委が登録の可否を決める。

 加盟国は専用サイトで申請内容を閲覧でき、最大90日以内に異議申し立てが可能。合意するまで審査は保留される。(編集委員・水川恭輔)

(2023年11月30日朝刊掲載)

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