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ウクライナ人女性 研修で支援 ユニタール広島事務所 デジタル分野 就業や起業後押し

 国連訓練調査研究所(ユニタール)持続可能な繁栄局・広島事務所(広島市中区)が、ロシアによる侵攻で隣国ポーランドに避難しているウクライナ人女性を対象に、無料のオンライン研修を開いている。避難生活が長引く中、女性の就業や起業を後押しして自立を支え、将来のウクライナ復興につなげるのが目的。廃虚から立ち上がった被爆地広島を拠点に、持続可能な支援を探っている。(新山京子)

 10月に始まった研修は、ウェブデザインやサイバーセキュリティー、データ分析などデジタル分野の4コース。それぞれ週1回開講し、ウクライナの大学教員や日本のデジタル関連企業の社員らが講師を務めている。

 受講者は、10~40歳代を中心に約500人のウクライナ人女性で、自宅などからオンラインで参加し、課題をこなす。

 来年2月まで、対面形式での講座と併用で続け、成績優秀者の事業アイデア実現も支援する。

 ウクライナでは総動員令で男性の国外避難が原則禁じられ、女性が子どもを連れポーランドなどに避難しているケースが多い。研修を担う広島事務所スタッフのバコゾダ・ボフタールさん(44)によると、受講者の約7割が無職で職探しに苦労しているという。

 広島事務所はこれまでにも海外でデジタル分野の研修を実施。イスラム主義組織タリバンの支配下で失業者が増加したアフガニスタンやアフリカなどの紛争地で、女性や若者のデジタルスキルの向上を促してきた。

 ボフタールさんはそうした経緯を踏まえ、ウクライナが周辺国に比べ、デジタル分野で発展している点に着目。今回の研修内容を考案した。「彼女たちはこの先、ウクライナの復興を担う貴重な人材」と説明する。

 ボフタールさんは広島事務所の研修で、連携する国内外の企業の開拓にも力を入れる。「多くの人が関わることで、ウクライナ情勢への関心が継続し、避難民の救済にもつながる」と話す。

(2023年12月4日朝刊掲載)

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