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「人類への脅威」全廃誓う 核禁条約会議 宣言採択し閉幕 抑止論脱却へ議論

 米ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約の第2回締約国会議は最終日の1日、「人類の存亡に関わる核兵器の脅威に対処し、禁止と全廃に取り組む」と誓う政治宣言を採択して閉幕した。核抑止論を否定し、核兵器の存在が引き起こす安全保障上の懸念を精査する協議の開始を決め、条約の実効性を高める道筋を打ち出した。第3回会議は2025年3月3~7日に国連本部である。(ニューヨーク発 宮野史康)

 宣言は「核兵器禁止の支持と破滅的な結末回避への決意」。廃絶が不使用を保証する唯一の手段と強調した。核抑止への固執は「不拡散と矛盾するだけでなく、核軍縮の進展を阻害している」と指摘。全ての国に「非核保有国の領域へのあらゆる核配備」をやめるよう求めた。

 会議はまた、核兵器の存在や核抑止論による「安全保障上のまっとうな懸念」を精査するまとめ役にオーストリアを指名した。核保有国や依存国に核抑止からの脱却を迫るため核の非人道性を示す新たな科学的証拠に基づく議論を重ね、第3回会議に報告書を出す。

 核被害者の援助と被害地域の環境回復に向けた国際的な信託基金の設立を巡っては「第3回会議で設立する検討を優先する」と決めた。

 デラフエンテ議長は閉幕後の記者会見で「核兵器と国際安全保障は両立しないという明確なメッセージを打ち出した。異なる立場の人と対話を続ける。次回までの1年余りが重要だ」と述べた。

 11月27日に始まった第2回会議は94カ国・地域が出席し、前回の83カ国・地域を上回った。米国の「核の傘」に依存し、条約を批准していないオーストラリア、ドイツ、ノルウェー、ベルギーがオブザーバー参加した一方、日本や核保有五大国は見送った。次回はカザフスタンが議長国を務める。

(2023年12月3日朝刊掲載)

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