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[核兵器禁止条約 第2回締約国会議] 折り鶴の願い 世界に届け 広島市立大の大内さん 外交官らに発信

再生紙ノートも贈る

 広島市立大1年の大内由紀子さん(19)=安佐南区=が、核兵器禁止条約の第2回締約国会議に合わせて米ニューヨークを訪れ、各国の外交官たちに核兵器の非人道性を伝える独自の活動に取り組んだ。被爆10年後に亡くなった佐々木禎子さんの級友の思いも胸に、折り鶴に込められた平和への思いを広げた。(ニューヨーク発 宮野史康)

 「折り鶴を知っていますか」。大内さんは11月29日、国連本部の議場にいたケニアの外交官たちに英語で声をかけた。禎子さんが病床で折った鶴が平和の象徴になった経緯を知ってもらおうと、平和記念公園(中区)の原爆の子の像にささげられた折り鶴の再生紙で作ったノートを贈った。滞在中、若者の交流会などにも参加した。

 昨年6月もオーストリア・ウィーンであった第1回会議に合わせ、高校生平和大使として市民団体から派遣された。この時は、関連行事で用意したスピーチ原稿を時間が足りずに一部しか読めないなど悔いを残した。原爆を落とした国への関心から、今回も渡米を決断。大使の活動で知り合った人たちからカンパを募り、旅費の半分を捻出した。

 折り鶴再生紙のノートも禎子さんの同級生、川野登美子さん(81)=中区=から30冊を託された。広島大付属三原小4年の時、被爆証言を聞いて核兵器の問題に関心を持つきっかけになったといい、記憶を継承する独自の研修を7月から受けている。「川野さんが抱えたように、いつ死ぬか分からない不安が核兵器の恐ろしさ」と話す。

 今回の活動を通じて、廃絶を訴える米国人と出会い勇気づけられたという。「禁止条約への市民社会の関心を高め、日本政府に署名、批准を働きかける活動に取り組みたい」と決意を新たにした。

(2023年12月2日朝刊掲載)

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