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旧理学部1号館 正面棟一部保存 広島大跡地 市が整備案 概算63億円 背後に建物新築

 広島大本部跡地(広島市中区)にある被爆建物の旧理学部1号館を巡り、市が正面棟の一部を保存し、背後に建物を新築する案を固めたことが5日、分かった。概算工事費は63億円の見込み。1号館を拠点にする予定の「ヒロシマ平和研究教育機構」は2024年1月に発足し、当面は市立大サテライトキャンパス(中区)に事務局を置く。(野平慧一)

 市は、E字形の1号館のうちI字形の正面棟を残す方針を17年に決め、具体的な範囲を検討してきた。複数の関係者によると、1号館の正面から廊下までの範囲で保存し、背後に新築の建物を併設する案を採用する。講義室や研究室などに必要な約3千平方メートルの床面積を確保でき、既存の建物の意匠や歴史的な価値も残せると判断したという。

 市は14年に、正面棟をI字形に部分保存する場合の概算費を18億5千万円と試算していた。保存範囲や新築建物の規模を具体的に検討する中で、概算費が膨れ上がった模様だ。23年度内にまとめる基本計画に整備案を反映させる。

 ヒロシマ平和研究教育機構は、市と広島大、市立大、広島平和文化センターが設立する。被爆体験や核兵器廃絶、ウクライナとロシアの戦争などをテーマにした共同研究に取り組み、海外の若手研究者の短期受け入れも進める。

(2023年12月6日朝刊掲載)

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