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連載・特集

故郷ガザ思い 反戦願う 出身者ら 広島で連帯

 積み上がる犠牲者を前に、広島から何を発信できるのか―。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が続く中、ガザ地区の出身者や市民の有志らが連日、原爆ドーム前(広島市中区)に集うなどして、反戦への思いを強くしている。

 日が沈みかけたドーム前。参加者は、「ジェノサイド(大量虐殺)をやめろ」とキャンドルのともしびで英文を浮かび上がらせる。白い布に「血の涙」の意味を込めた赤いしずくを描くなど、連帯の動きを広げる。

 「僕の故郷がどんなところか分からないんだ。インターネットで検索してもがれきの写真ばかりだから」。大学で研究者を務める父や他の家族とともに、昨年7月から広島県内で暮らすハサン・アメンさん(9)は目を伏せた。故郷には祖父母が残り、「無事でいて」と祈る。

 姉のバトールさん(10)は地元の小学校で家庭科クラブに入り、日本で友達もたくさんできた。

 一方で、パレスチナ人としての誇りは常にあり、パレスチナの旗をモチーフにしたペンダントを「お気に入りなの」と、記者に見せてくれた。「苦しんでいる故郷の人たちを助けたい」。少女の澄んだ瞳は、異国の部屋に掲げられたパレスチナの旗を見つめていた。(写真と文・山田尚弘)

(2023年12月6日朝刊セレクト掲載)

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