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被服支廠 イメージ公表 1号棟平和学習 2~4号棟文化・観光拠点 広島県議会委で県

「軍都の歴史を伝えて」要望も

 国重要文化財(重文)に指定される最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(広島市南区)を巡り、広島県は6日の県議会総務委員会で、全4棟のうち1号棟を平和学習拠点とするなど将来的な活用イメージを公表した。県議からは原爆の悲惨さにとどまらず、軍都広島の歴史を伝える施設としての活用を求める声などが上がった。(河野揚)

 県は国、広島市との研究会で取りまとめた活用イメージとして、1号棟は被爆資料の展示室など平和学習拠点としていると説明。2~4号棟は図書館など地域住民が使う文化芸術拠点、ホテルなど国内外の人が訪れる宿泊・観光拠点の2案を挙げた。

 公明党議員団の井上謙一郎氏(中区)は、旧陸軍の軍服などを製造、保管した被服支廠の経緯も踏まえ「8月6日(原爆の日)だけでなく、軍都や復興の歴史のストーリーを伝えられる施設として活用してほしい」と要望した。

 建物の最低限の安全対策に必要な耐震工事には少なくとも1棟当たり5億8千万円かかる見通し。県は所有する3棟について、工事費の最大で半額を重文指定に伴う文化庁の補助金で賄う方針でいる。県はこの日の総務委員会で、うち1棟は市に無償譲渡して市にも一定の負担を求める案があると明らかにした。

 これに対し、自民議連の森川家忠氏(竹原市・豊田郡)は「1棟に固執せず、3棟とも譲渡することも含めて協議を」と述べ、県市の負担割合について検討を重ねるよう注文した。

(2023年12月7日朝刊掲載)

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