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「最後の被爆地に」 国際賢人会議 長崎で開幕 委員 証言聞き取り

 核兵器廃絶への道筋を保有国と非保有国の有識者が議論する「国際賢人会議」の第3回会合が8日、2日間の日程で長崎市で開幕した。初日は被爆者の証言を聞き、「長崎を最後の被爆地にする」と確認。核兵器をなくすための課題を討議した。(樋口浩二)

 保有国からは米国、ロシア、英国、フランス、中国、インドの計7人、非保有国からは日本、ドイツ、ニュージーランド、インドネシアの計6人が集い、アルゼンチンの1人がオンライン参加した。

 長崎入りした委員は討議に先立ち、原爆資料館を見学。18歳の時に爆心地から1・8キロで被爆した築城昭平さん(96)とも対面し、90歳を過ぎて学んだという英語の証言に聞き入った。ドイツのケイン元国連軍縮担当上級代表は「長崎を最後の被爆地にするため、核兵器をなくさなければならない」と述べた。

 開会セッションには、岸田文雄首相がメッセージを寄せ、「核兵器のない世界」へ「道は険しくとも歩みを止めてはならない」と呼びかけた。現地の有識者として加わった日赤長崎原爆病院名誉院長で被爆者の朝長万左男さん(80)は委員に「核抑止論を克服するよう期待する」と求めた。

 座長を務める熊本県立大の白石隆理事長は討議後、人工知能(AI)など新興技術が核兵器の脅威を高める可能性などについて議論したと説明。来年以降3回程度会合を重ね、2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議前に提言をまとめる考えを示した。

 9日は、会議を提唱した岸田首相が現地入りし、被爆者とも対面する。初回は昨年12月に広島市で、2回目はことし4月に東京で開かれた。

(2023年12月9日朝刊掲載)

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