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式典ルポ 戦闘機飛来 駆逐艦も 「油断せず 戦闘と勝利準備」

 戦闘機がごう音を響かせ、巨大な駆逐艦が洋上を行く―。7日、米ハワイのパールハーバー国立記念公園で現地の海軍や米国立公園局が開いた真珠湾攻撃の記念式典は、強大な軍事力を背景に平和を守るという米国の強い決意を映し出した。(ホノルル発 宮野史康)

 湿り気を含んだ穏やかな風が吹く早朝の真珠湾。「おはようございます」。会場に着くと、制服姿の軍人が丁寧に声をかけてくれた。肩をたたき、握手を重ねて再会を喜ぶ参列者も。にぎやかな会場は、開始5分前を告げる放送で静まり、厳かな雰囲気が漂った。

 司会者が、攻撃時刻の午前8時ごろに黙とうを促す。張り詰めた空気を、地響きのような爆音が揺らす。見上げると、4機の戦闘機が飛来し、1機が空高く上昇していった。観閲も式に組み込まれ、米海軍のミサイル駆逐艦ディケーターが対岸のアリゾナ記念館前を横切った。

 米インド太平洋軍のアキリーノ司令官はあいさつで、真珠湾攻撃の教訓として4点を強調した。「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)。米国は油断するな。国家と私たちの生き方を守るため、絶え間なく警戒する。戦闘と勝利の準備をしておく」。開式から1時間半近くたち、ライフル銃を持って行進してきた海兵隊員が湾に向けて礼砲を3度放つと、式典は終わった。

 最前列の席には攻撃を体験した元兵士5人が座っていた。式典後に参列者に囲まれ、レイをもらったり、サインや写真を求められたりしていた。

 その一人、ミシガン州のハーバート・エルフリングさん(101)は取材に「生き残った者として、この場所に戻れて特別な気持ちになった」と語った。公園と広島市の平和記念公園が姉妹公園協定を結んだと説明すると、「何であれ協力は良いことだ」と前向きに受け止めていた。

(2023年12月9日朝刊掲載)

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