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[こっからよ 呉] 「潜水艦」のゲストハウス きょうオープン 元乗組員、内装に助言

赤い照明・円筒状の天井

 海上自衛隊呉基地がある呉市の中心部に8日、潜水艦をコンセプトにしたゲストハウス「RED SUBMARINE(レッド・サブマリン)」がオープンする。海自の潜水艦乗組員だった同市の田口美紀男さん(74)がデザインなどを助言。「艦長」として宿泊者に潜水艦に関するトークもする予定だ。海自や旧海軍の関連施設などを目当てに訪れる観光客を中心に、新たな名所としてアピールする。(上木崇達)

 同市中通の通称「赤ビル」4階の約110平方メートルを改装した。銭湯などが入る同ビルの経営立て直しの一環。同ビル運営会社の社長で次女の小島真帆さん(43)に、田口さんが経験を基にデザインなどをアドバイスした。

 宿泊の定員は15人。宿泊者が集える食堂がある部屋を「士官室」、2段ベッドがあるドミトリーを「士官寝室」、五つの個室は「艦長室」と名付けた。

 潜水艦内の生活を体感できるよう意匠を凝らす。円筒状の内部を模して「士官室」の天井から壁にかけた部分は丸みを帯びる。配管をむき出しにして、トイレはステンレス製に。照明は夜間の艦内の雰囲気を醸し出すよう赤にした。

 田口さんは1965年に入隊し、副長や水雷長として計7隻の潜水艦に乗った。現在は海自呉史料館「てつのくじら館」(同市宝町)のボランティアガイドも務める。ゲストハウスでは週1回程度、宿泊者向けに潜水艦にまつわる話をする機会を設ける。「歴史や仕組み、任務の大変さなどを紹介して理解を深めてほしい」と話す。

 市が3年前に実施したアンケートの結果、6割強が市内での宿泊経験がなかった。観光消費額アップを目指す市にとって、来訪者の滞在時間の短さが課題となっている。小島さんは「呉に泊まりたいという人を増やし、街の活性化に貢献したい」と力を込めた。

(2023年12月8日朝刊掲載)

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