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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 平和のバトン 昔も今も

 小学生の時、担任の先生が「平和への思いをカセットテープに吹き込もう」と呼びかけた。被爆体験を語り継ぎたいという思いを「平和のバトン」と題して発表した記憶がある。

 呼びかけた広藤誠先生は今、広島市南区の大州小の校長を務めている。今夏、先生の提案に応じた児童たちが合唱団を結成し、「ひろしま平和の歌」を同校の中庭で響かせた。

 その歌は、1947年から市の平和記念式典で歌い継がれる。先生は「被爆からわずか2年で世界平和を願った市民の思いを感じて」と児童に語りかけているという。

 合唱団のメンバーに会うと、「平和の大切さを下級生にも伝えたい」と目を輝かせていた。来春に退職する広藤先生。私も握った平和のバトンを、きっと児童たちも受け取っている。(編集センター・川村正治)

(2023年12月8日朝刊掲載)

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