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初の被爆2世代表・名称変更… 大竹の被爆者団体 存続模索

裾野拡大へ一般会員募集

 大竹市内の被爆者たちでつくる団体が、組織の存続に向けた取り組みを強めている。1971年に被爆者約2千人で発足した「市原爆被爆者協議会」の名称を今春、「市原爆被害者友の会」に変更。被爆者と被爆2世、遺族に限っていた会員の条件をなくした。11月には団体の代表に初めて被爆2世が就いた。会員の高齢化が進む中、活動の裾野を広げようと模索している。(長部剛)

 4月に名称と会則を変更。被爆者や遺族ではない市民も活動に加わってもらおうと、一般会員を初めて募った。会は71年の発足時、被爆者だけで構成していたが、2009年に被爆2世にも枠を広げるなど組織の活性化を図ってきた。

 11月1日時点の会員数は605人。内訳は被爆者242人、被爆2世127人、遺族232人、一般4人となっている。

 さらにこれまで被爆者と被爆2世に限定していた年会費の徴収対象を、遺族たちを含めて全会員に広げた。被爆者千円、他が500円で会の運営の安定化が目的。会費を納める人は被爆2世が会員に加わった09年の950人から右肩下がりだったが、23年は前年の383人から6割弱増えた。

 11月中旬には新たな会長に、被爆2世で県被団協理事の賀屋幸治さん(71)=同市玖波=が就任。生後約1カ月で入市被爆した前任の中原悦司さんが7月に死去したことによる会長交代で、賀屋会長は「高齢化する被爆者の思いを被爆2世としてしっかりと受け止め、世界平和と核兵器廃絶のメッセージを大竹から発信するため尽力したい」と意気込む。

 会は毎年8月6日、市内で原爆死没者追悼・平和祈念式典を開催。会員や関係者に送る案内状には市内の小中高生たちが書いた平和の作文を掲載し、核兵器廃絶に向けた思いをつないできた。

 市地域介護課によると、市内の被爆者は12月1日時点で381人。近年は毎年40人ほど亡くなっている。賀屋会長は「活動の趣旨に賛同してくれる人を広く募りたい」と呼びかけている。

(2023年12月12日朝刊掲載)

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