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広島市 研修に教育勅語 市長の意向 再評価は否定

 広島市の新規採用職員向けの研修資料に、松井一実市長が戦前の「教育勅語」の一部を引用していることが11日、分かった。公益などを説く箇所で、市長就任翌年の2012年度から載せているが、市を通じ「教育勅語を再評価すべきだとは思っていない」としている。

 市によると、研修資料は松井市長が監修して職員が作成。23年度版は19ページで、公務員の心構えや市のまちづくり、財政状況を説明している。うち1ページに博愛や修学、公益を説く教育勅語の一部を英訳付きで示し、「先輩が作り上げたもので良いものはしっかりと受け止め、後輩に繋(つな)ぐ事が重要」と記している。松井市長の意向で毎年、同じ箇所を引用しているという。

 松井市長は「全体を画一的に捉えて良い悪いと判断するのではなく、中身を見て多面的に物事を捉えることが重要。その一例として教育勅語を紹介した」とコメントし、今後も研修で使う考えでいる。

 教育勅語は1890年に発布され、明治天皇の名で国民道徳の根源や教育の基本理念を明示。父母への孝行、夫婦の和、博愛などを示しつつ、緊急事態には皇室国家に尽くすよう求める記述もある。1948年、衆参両院が排除や失効を決議した。

(2023年12月12日朝刊掲載)

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