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市議「資料見直しを」 広島市 研修で「教育勅語」引用

 広島市の職員研修向けの資料に松井一実市長が戦前の「教育勅語」の一部を引用しているのを受け、市議会総務委員会で14日、市議2人が資料の見直しを求めた。

 共産党の中森辰一氏(西区)は戦後に教育勅語が衆参両院で排除・失効を決議された経緯に触れ、「現在も指導原理だという誤解を招く」と指摘。「一部を引用し、後世に引き継ぐのは憲法に反する行為」と訴えた。

 無党派クラブの門田佳子氏(中区)は「軍国主義と結び付いたとされ、教育基本法で誤りを徹底的に払拭した。市の教育現場に混乱を起こすのでは」と懸念。「国際平和文化都市の価値を失墜しかねない」として見直しを迫った。

 市側は「(引用部分は)民主主義の概念に通じる内容もある」とする松井市長の見解を紹介。企画総務局の阪谷幸春局長は「研修内容に疑義があれば確認している。市長の考えがおかしいと思えば議論し、市政を進めている」と述べた。

 資料は2012年度から使用しており、公務員の心構えや市のまちづくりを説明。23年度版は全19ページで、うち1ページに博愛や修学、公益を説く教育勅語の一部を載せている。(野平慧一)

(2023年12月15日朝刊掲載)

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