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真珠湾公園を訪ねて 広島との協定を機に <下> インタビュー

 日米の公園連携で何を目指すのか。広島市の平和記念公園と米ハワイ州ホノルル市のパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定を巡り、国立公園のトム・レザーマン管理監督者(56)と、リック・ブランジャルディ市長(77)に聞いた。(宮野史康)

パールハーバー国立記念公園 レザーマン管理監督者

海軍含め平和への対話

  ―姉妹公園協定を結んだ意義は。
 真珠湾攻撃と広島への原爆投下は無数の人々の命に影響し、世界史に刻まれている。両地を結ぶことで人々に歴史を理解してもらい、より平和な世界に向けた道筋を描ける。12月7日(日本時間8日)の真珠湾攻撃に至った経緯だけでなく、戦争のその後と終わり、そして今日の日本と米国の強力な同盟関係にまで学びを広げられる。

  ―パールハーバー国立記念公園は、軍事的な面がありませんか。
 国立公園局はこの地の歴史を伝えるよう取り組んでいる。平和記念公園と使命が全く同じではないが、平和の促進という共通点で連携できる。海軍が公園を運営しているわけではない。協力はしているが、活動の点検や業務の指示は受けない。

 平和の促進に関わってはいけない主体があるのだろうか。私たちの究極の目的が平和な世界の実現であるというなら、海軍も含むあらゆる主体が対話に加わるべきだ。海軍はまさに紛争へ関わっているのだから。

  ―1日に広島市の松井一実市長と面会しました。協定の具体策は。
 若者の交流を特に重視している。歴史を学び、平和を実現する方策を考える教育をしたい。展示物の共有や、被爆樹木と真珠湾攻撃の「証言樹木」の交換も検討している。

ホノルル市 ブランジャルディ市長

協定の論争 理解できず

  ―姉妹公園協定をどう捉えていますか。
 ホノルル市は協定に関わっていないが、広島市との関係を深める取り組みを歓迎したい。もっと早く結んでも良かった。文化交流や歴史の教育、惨禍を繰り返さない取り組みに協力したい。

  ―広島市民には、協定に賛否があります。
 第2次大戦では恐ろしい事が起きた。真珠湾への攻撃や広島への原爆投下をはじめ、両国で多くの命が失われた。教訓を学ぶべきだ。協定を巡る論争は理解できない。日本との強力な同盟は、ハワイや米国、太平洋にとって非常に重要だ。かつていがみ合い戦火を交えたが、今は非常に強力な仲間だ。過去の悲惨な経験を理解し、二度と起こさないという誓いにつなげるべきだ。

  ―広島市の松井一実市長とも面会されましたね。
 非常に良い面会だった。両市の姉妹都市関係は特別な意味を持つ。(米国にとって)ハワイは第2次大戦が始まった地であり、広島は戦争の終わりに関わる。両国の運命に関する深い結びつきがある。2024年に日本を訪れたいと思っている。松井市長には広島を最初に訪れると約束した。文化的な交流の方策を話し合いたい。

(2023年12月18日朝刊掲載)

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