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教育勅語の引用継続 広島市長 「物事分析の資料に」

 広島市の松井一実市長は19日の記者会見で、職員研修向け資料への戦前の「教育勅語」の一部引用について、「物事を一律に良い悪いとせず、分析する目を持とうという資料として使っている」と説明した。2024年度以降も引用を続ける考えを示した。

 松井市長は、研修で「今の憲法下で教育勅語は否定されている」と前置きした上で、修学や公益を説く引用箇所を示して「民主主義的な発想の言葉も並んでいる」と講話しているという。「物事の評価を多面的に考えるための実例として取り上げている」と語った。

 資料は松井市長が監修し、公務員の心構えやまちづくりを紹介。就任翌年の12年度から教育勅語を引き、23年度は全19ページのうち1ページを充てた。

 松井市長はまた、会見で、平和記念公園(中区)との姉妹公園協定の締結を受け、今月上旬に米パールハーバー国立記念公園を訪れた時の感想を述べた。12年の訪問時と比べ、園内施設での太平洋戦争関連の展示が「客観性を持たせた内容に変わってきた」と指摘。佐々木禎子さんの折り鶴を挙げ「和解による平和への願いの成果が出てきた」と評価した。(野平慧一)

(2023年12月20日朝刊掲載)

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