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遺品 無言の証人

[無言の証人] 骨片が張り付いた小鉢

高熱受けた苦痛映す

 割れた褐色の小鉢に張り付いているのは、骨片。原爆の熱線にさらされて何かが溶けて、一緒に付着したのだろう。原爆資料館によると所蔵の経緯については記録がなく、発見された場所などの詳細は不明という。

 米軍による原爆投下で広島は焦土と化し、あまたの市民が生きたまま焼かれた。被爆者の手記には、誰のものか分からない骨を「家族の形見」と持ち帰ったという証言もある。平和記念公園内の「原爆供養塔」に眠る遺骨は、約7万人分とされる。

 原爆資料館が所蔵する被爆資料には、人骨を含むものが他にもある。焼け跡から収集して瓶に収めた骨のかけらや、無数の人骨が混じった「溶融塊」―。金属が溶けるほどの熱を全身で受けた人間の苦痛を伝える。(新山京子)

(2023年12月25日朝刊掲載)

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