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「平和どう守る」若者へ呼びかけ 元広島市長平岡さん 人生振り返る新著

 元広島市長平岡敬さん(96)の新著「君たちは平和をどう守るのか」が南々社(広島市東区)から刊行された。ウクライナで戦争が続き、日本政府も軍備増強にかじを切る今、自身の人生を振り返りながら、「戦前」を繰り返さないため「戦争反対の声を上げよう」と若い世代に呼びかける。

 過去の講演などを軸に6章にまとめた。1章は、現在を問う。ことし5月に広島で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)や、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に踏み切った現政権の安全保障政策の大転換などに触れ、警鐘を鳴らす。

 2章から5章までは、平岡さんの歩みをたどる。日本統治下の朝鮮半島で過ごした少年時代や、中国新聞記者としていち早く韓国に渡り、貧困や差別に苦しむ在韓被爆者を取材した体験などを紹介。広島市長として国際司法裁判所(ICJ)で核兵器の非人道性を訴えた陳述内容も収めている。

 終章では、歴史に学ぶ重要性を説く。「戦争は突然起こるものではなく平時の延長線上にある。批判の声を上げなくては取り返しがつかなくなる」と強調し、「新しい戦前」ではなく「永遠の戦後」にしなければと締めくくっている。

 本文の下には用語解説も付き、若い読者の理解も助ける。四六判、192ページ。1650円。(森田裕美)

(2023年12月25日朝刊掲載)

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