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連載・特集

ヒロシマの記録2023 1~12月

G7開催 問われた意義

核情勢 問われる為政者

 被爆地の歴史に残る一年だったのは間違いない。だが、現実が私たちに問いかける。ヒロシマの叫びは世界に届いているのか、と。

 5月19~21日に広島市で開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)。初日、核兵器保有国の米英仏を含むG7と欧州連合(EU)の首脳が横一列に並び、平和記念公園の原爆慰霊碑に花輪を手向けた。原爆資料館の芳名録には被爆者へ寄り添うような言葉も残した。「あの日」の惨禍に触れ、核兵器廃絶を主導する―。被爆地開催の最大の意義はそこにあった。

 にもかかわらず、核軍縮文書「広島ビジョン」は、G7側の安全保障政策上、核兵器は防衛目的のために役割を果たすなどと明示。「核兵器のない世界」実現への関与を掲げつつ、核抑止力を肯定し、被爆者たちの反発を招いた。ロシアの「核の脅し」にさらされるウクライナ大統領の電撃参加も、ビジョンがうたう核軍縮・不拡散の現実的なアプローチに説得力を持たせようとした、ともとれる。

 その後、ロシアのプーチン大統領は同盟国ベラルーシへの戦術核の搬入を表明し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准も撤回した。一方の米欧側では、核同盟である北大西洋条約機構(NATO)へフィンランドとスウェーデンの加盟が決まり、ポーランドは米国の核を配備する「核共有」への参加意向を示す。イスラム組織ハマスと戦うイスラエルの極右閣僚は核使用を「選択肢の一つ」と発言。核情勢は混迷の一途だ。

 多国間交渉も手詰まり感が漂った。2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け今夏にオーストリア・ウィーンであった第1回準備委員会では、核兵器禁止条約を推進する非保有国と、否定的な保有国が衝突を繰り返した。「橋渡し」役を期待される日本政府は存在感を示せず、米ニューヨークで11~12月にあった禁止条約第2回締約国会議へのオブザーバー参加も見送った。

 3月に88歳で亡くなったノーベル文学賞作家の大江健三郎さんは「ヒロシマ・ノート」(1965年刊行)で、会議場の外でこそ「真の広島にめぐりあう」と記した。60年前、原水爆禁止運動が分裂の危機にある中、政治的対立の渦中で置き去りにされた被爆者たちの声に耳を傾けていく。

 世界が緊迫化し、国々がそれぞれの正義をかざす今、ヒロシマの原点に立ち返りたい。「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」。被爆者の叫びを伝え続けよう。24年は被爆79年。節目の年まで1年だ。(和多正憲)

1月

 1日 北朝鮮メディアが、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が2022年12月26~31日に開かれた党中央委員会拡大総会で「核弾頭保有を幾何級数的に増やすこと」に重点を置く23年の核戦略を表明したと報じる▽在外被爆者の援護実現に尽力した韓国原爆被害者協会の名誉会長、郭貴勲(クァク・クィフン)さんが12月31日に98歳で死去していたことが判明

 4日 岸田文雄首相が年頭の記者会見で、ロシアが「核の脅し」を繰り返す中、議長として広島市で5月に開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)では核軍縮が重要テーマになると表明

 12日 広島市の被爆建物の本川小平和資料館、袋町小平和資料館、広島逓信病院旧外来棟の3施設について、市が原爆資料館の付属展示施設にする方針を固めたことが判明。24、25年度に順次開館する

 14日 岸田首相がバイデン米大統領とホワイトハウスで会談。G7サミットの意義や連携を確認し、共同声明に「核の傘」を事実上肯定する言葉を盛り込む

 18日 放射線影響研究所が広島市の広島大霞キャンパスへの2025年度内の移転方針を決定。同大は26日に受け入れ決定

 19日 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)が、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威を抑止するため、韓国への核兵器再配備を検討するべきだとの政策提言を発表

 22日 核兵器を全面的に違法化した核兵器禁止条約の発効から2年。被爆者たちが広島市の平和記念公園一帯で、禁止条約の署名・批准の拡大を訴える

 25日 広島市の広島大本部跡地の被爆建物、旧理学部1号館を拠点にした「ヒロシマ平和研究教育機構」の設立へ、広島市と広島大、広島市立大、広島平和文化センターが連携協定を締結

 31日 岸田首相が北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と官邸で会談。共同声明で中国の急速な軍事力強化と軍事活動拡大に対し、透明性向上と軍備制限・軍縮に協力するよう強く促す

2月

 1日 元エジプト大使の香川剛広氏が広島平和文化センター理事長に就任。前任の小泉崇氏は健康上の理由で1月末で退任

 7日 広島への原爆投下で親が被爆した広島、山口県などの2世28人が国に損害賠償を求めた訴訟で、広島地裁は被爆者と同等の措置を講じていない国の対応を「違憲とは認められない」として請求を棄却

 11日 中国人民解放軍が米軍との対立激化を視野に現有約300発の核弾頭を2035年までに3倍の900発まで増強する方向で検討していることが判明

 14日 広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長が東京のG7各国の大使館を回り、首脳たちによる原爆資料館視察や被爆者との対話を求める

 16日 広島市教委が平和教育プログラムを見直し、新教材から漫画「はだしのゲン」を削除することが判明  21日 ロシアのプーチン大統領が連邦議会に対する年次報告演説で、新戦略兵器削減条約(新START)の履行を停止すると表明。脱退は否定した

 24日 ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。二つの広島県被団協など広島の被爆者7団体が記者会見し、プーチン大統領に侵攻の即時停止を求める

3月

 3日 「ヒロシマ・ノート」を著し、平和と反核を訴えたノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが88歳で死去▽日本、米国、オーストラリア、インドの協力枠組み「クアッド」の外相会合がインドであり、ウクライナ情勢に関し「核兵器の使用またはその威嚇は許されない」と明記した共同声明を発表

 7日 日本被団協が核兵器禁止条約への署名・批准を岸田文雄首相に求める署名109万8810筆を外務省に提出▽広島で被爆し、東京都の被爆者団体「東友会」代表理事を務めた大岩孝平さんが90歳で死去

 25日 ロシアのプーチン大統領が国営テレビのインタビューで、同盟国ベラルーシへの戦術核兵器配備を決めたと表明。ウクライナに劣化ウラン弾などを供与する米欧の軍事支援強化への対抗措置だと強調する

 28日 バイデン米政権が、新戦略兵器削減条約(新START)に基づく情報提供の停止をロシアに通知したと明かす

 31日 国連安全保障理事会が、ロシアによるベラルーシへの戦術核兵器配備計画に関する緊急公開会合を開催。英仏や日本から非難が噴出し、米国はウクライナ支援の抑止狙いだと訴える

4月

 1日 家族の被爆体験を語り継ぐ広島市の「家族伝承者」に、7人を初めて任命

 4日 東京都内で国際賢人会議が2日間の日程で開幕し、米中など核兵器保有国と非保有国の有識者が参加▽フィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年5月に加盟を申請していた

 6日 バイデン米大統領が5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて被爆地・長崎を訪問する案が見送られることが判明

 14日 日本被団協が、G7サミットに向けた岸田文雄首相宛ての要請書を政府に提出。各国首脳と被爆者との懇談の場の設置などを要望

 18日 G7外相会合が長野県軽井沢町での3日間の日程を終えて閉幕。核兵器のない世界を「究極の目標」と定め、各国の関与を確認する共同声明を発表

 21日 国際賢人会議が核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会に向け声明を発表。NPT体制は「国際的な安全保障構造の礎石」として核使用や威嚇をしないよう規範強化を唱える

 25日 各国の若者が核兵器のない世界に向けて意見を交わす「広島G7ユースサミット」が広島県内で3日間の日程で開幕。非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の主催で、原爆被害の実態や国際情勢を学ぶ

 26日 バイデン米大統領と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、米国の「核の傘」提供を軸とする拡大抑止強化への共同文書「ワシントン宣言」を発表。「北朝鮮が韓国を核攻撃すれば、米国は迅速かつ圧倒的で決定的な対応を取る」と強調

 27日 広島大に寄贈するため、広島県被団協初代理事長の森滝市郎氏の資料が広島市の自宅から運び出される

 28日 「黒い雨」の被害者救済を巡り、国の新たな認定基準の下で被爆者健康手帳を申請し、却下されるなどした広島県内の23人が、県と広島市に処分取り消しなどを求めて広島地裁に提訴。新基準を踏まえた集団提訴は初めて

5月

 7日 中国新聞が先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向けた核兵器廃絶への提言を発表。首脳らに原爆の惨禍を直視し、被爆者の訴えを受け止め、世界から核兵器をなくすよう求める

 13日 中国福建省で、核兵器に使える高純度のプルトニウムを生成できる高速増殖炉の建設が最終段階に入ったことが衛星画像で判明

 19日 G7サミットが広島市で開幕し、核保有国の米英仏を含む参加国の首脳たちが平和記念公園を訪問。原爆資料館を見学して被爆者と対面後、原爆慰霊碑に献花した。核軍縮に特化した初の合意文書「広島ビジョン」を発表して「核兵器のない世界」を掲げつつ、核抑止力を事実上肯定

 20日 G7サミットで、成果を盛り込んだ首脳声明発表。軍縮・不拡散に関し「全ての人にとっての安全が損なわれない形」で現実的、実践的に核兵器のない世界を目指す姿勢を強調

 21日 G7サミット閉幕。議長の岸田文雄首相が平和記念公園で記者会見し「広島ビジョン」の意義を強調し「核なき世界という未来への道を着実に進む必要がある」と訴える▽韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、平和記念公園で岸田首相と共に韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花。韓国の現職大統領の慰霊碑訪問は初めて▽核保有国インドのモディ首相が平和記念公園訪問▽ウクライナのゼレンスキー大統領が平和記念公園訪問。原爆資料館の芳名録に「現代の世界に核による脅しの居場所はない」と記し、核使用をちらつかせるロシアをけん制する

 25日 ロシアの戦術核兵器の配備に正式合意したベラルーシのルカシェンコ大統領が、自国の準備を整えたとし「移転が始まった」と表明

 27日 核兵器廃絶を目指す科学者らの組織「パグウォッシュ会議」前会長のジャヤンタ・ダナパラ氏が84歳で死去

6月

 13日 ベラルーシのルカシェンコ大統領が国内に配備されるロシアの戦術核兵器を巡り「攻撃があれば、使用の決断をためらうことはない」と述べたと国営ベルタ通信が報じる

 16日 ロシアのプーチン大統領がベラルーシに戦術核兵器の第1弾を既に搬入したと表明。配備は「年内に完了する」とし、抑止力としての配備だと主張

 21日 日本被団協が総会を開催。先進7カ国首脳会議(G7サミット)で核抑止を事実上肯定した「広島ビジョン」を踏まえ、「核抑止ではなく核兵器廃絶を」と題した特別決議を採択

 22日 放射線影響研究所が、丹羽太貫(おおつら)理事長が22日で退任し、前広島大副学長の神谷研二氏が新理事長に就いたと発表

 26日 二つの広島県被団協など広島の被爆者7団体がG7サミットを総括した声明を発表。「広島ビジョン」を「核抑止体制の維持をうたい期待に程遠い」と批判

 29日 広島市と米政府が、平和記念公園とパールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定を締結。松井一実市長とエマニュエル駐日大使が東京の米国大使館で調印

 30日 ポーランドのモラウィエツキ首相が、ロシアの戦術核兵器のベラルーシへの搬入を受け、米国の核兵器を北大西洋条約機構(NATO)加盟国内に配備する「核共有」に加わりたいとの意向を表明

7月

 10日 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が記者会見し、トルコがスウェーデンのNATO加盟容認に転じたと発表。北欧全土のNATO入りが事実上決定

 14日 広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、広島県や市が事前に日本政府へ示した首脳の原爆資料館見学案では、20分かけて本館と東館を巡り、被爆者と30分対話する内容だったことが、中国新聞の情報公開請求で判明

 18日 韓国国防省が、弾道ミサイルを搭載可能な米軍の戦略原子力潜水艦ケンタッキーが釜山に入港したと発表

 23日 核兵器禁止条約の諮問機関「科学諮問グループ」の専門家委員に推薦された長崎の被爆者の落選が判明

 29日 中国新聞社が全国各地の被爆者団体に協力を依頼したアンケートで、G7サミットについて回答団体の52・9%が核兵器廃絶へ「成果がなかった」と受け止めていたと判明▽中国が2022年にロシアから調達した原発用核物質の輸入額が、統計を確認できる15年以降で最大の4億9千万ドル(約690億円)に上ることが判明

 31日 26年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会が、オーストリア・ウィーンで開幕。加盟約190カ国・地域の政府代表たちが議論し、核軍縮・不拡散の進展を図る

8月

 2日 米ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館が2025年、第2次世界大戦関連の新たな展示で原爆投下後の広島と長崎の街の写真展示を計画していると判明

 5日 韓国人原爆犠牲者慰霊祭が広島市の平和記念公園で営まれ、韓国政府から在外同胞庁トップの李基哲(イギチョル)氏が初めて参列

 6日 米軍による広島市への原爆投下から78年。市が平和記念公園で平和記念式典を営む。松井一実市長は平和宣言で、核抑止論からの脱却に向け、為政者へ「信頼関係に基づく安全保障体制の構築へ一歩を」と強く求める

 9日 米軍の長崎市への原爆投下から78年。台風6号の接近に伴い、市が長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を例年の平和公園から、60年ぶりに屋内会場に変更した。鈴木史朗市長は就任後初の平和宣言で「核抑止への依存からの脱却を勇気を持って決断すべきだ」と訴える

 11日 核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けオーストリア・ウィーンで開かれていた第1回準備委員会が閉幕。ビーナネン議長が総括文書を提案した後、イランが自国の核問題に関する記述で反発し、取り下げる異例の事態に

 16日 広島市の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の保存運動に尽力した市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」共同代表で、被爆者の中西巌さんが93歳で死去

9月

 8日 北朝鮮で「戦術核攻撃潜水艦」の進水式が6日にあり、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が出席したと北朝鮮メディアが報じる

 19日 岸田文雄首相が国連総会で一般討論演説。核軍縮の議論を促すため、海外の研究機関やシンクタンクに30億円を拠出すると表明

 21日 広島市の平和記念公園と米パールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定を巡り、市幹部が市議会で「原爆投下に関わる米国の責任の議論を現時点で棚上げにし、まずは核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという市民社会の機運醸成を図るために締結した」と答弁

 24日 中東カタールが9月上旬、イラン核合意の再建交渉の膠着(こうちゃく)を打開するため、イランが60%まで高めたウラン濃縮度を20%に引き下げる見返りに、米国がイラン産原油の輸出をこれまでの禁止から日量200万バレルまで認める暫定案を両国に打診したことが判明

 26日 米パールハーバー国立記念公園との姉妹公園協定を巡り、米国の原爆投下責任に関する議論を「棚上げ」するとした広島市幹部の答弁を受け、被爆者や市民団体が相次ぎ抗議

 28日 広島市が被爆者健康手帳を持つ被爆者の被爆地別の内訳を発表。初めて全都道府県のデータがそろい、3月末時点で広島被爆が6万9877人で61・5%、長崎被爆が4万3344人で38・1%となる

 29日 韓国政府の招きで広島から現地を訪れた在日韓国人被爆者と被爆2世たち38人が、ソウル市内で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と面会。尹氏は被爆者の長年の辛苦をねぎらう

10月

 19日 平和首長会議の国内加盟都市会議総会が2日間の日程を終えて閉幕。日本政府に対し、核兵器禁止条約の第2回締約国会議にオブザーバー参加するよう求める要請文を採択する

 20日 国の文化審議会が、広島市の平和記念公園のレストハウスや旧日本銀行広島支店など市内の六つの被爆建物を「広島原爆遺跡」として史跡に指定するよう文部科学相に答申

 27日 広島市の平和記念公園と米パールハーバー国立記念公園の姉妹公園協定を巡り、米国の原爆投下責任の議論を「棚上げ」するとした市幹部の市議会答弁に関し、松井一実市長が記者会見で「意図を理解してもらえれば、問題があるとは到底考えられない」と説明。米側と協定締結を調整する過程で議論しなかった事実を言い表したと主張する

11月

 2日 ロシアのプーチン大統領が、2000年に手続きを完了した包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回する法律に署名

 5日 イスラエルの極右閣僚が地元ラジオ番組で、パレスチナ自治区ガザへの核攻撃を「選択肢の一つだ」と発言。広島、長崎の被爆者から非難の声が上がる

 19日 中国新聞社が国内大手と中国地方の金融機関計25社を対象にしたアンケートで、15社が核兵器関連の企業や事業に投融資をしない方針を定めていると分かる

 24日 国の文化審議会が、広島市の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の全4棟を国の重要文化財に指定するよう文部科学相に答申

 26日 広島市の被爆体験証言者の細川浩史さんが95歳で死去。被爆死した妹森脇瑤子さんの日記を著書で紹介

 27日 核兵器禁止条約の第2回締約国会議が国連本部で開幕。初回を上回る94カ国・地域の政府代表らが出席し、核兵器廃絶や核被害者の援助を進める道筋を話し合う

 28日 政府が、広島市と中国新聞社など報道機関5社の共同申請による「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」の国際登録に推薦すると決定。翌29日にユネスコへ申請書を提出

 29日 バイデン米大統領がコロラド州を訪れた際、「(自分の随行者が)世界を粉々にする暗証番号を持っている」と核攻撃を命じるための「核のボタン」に唐突に言及

12月

 1日 国連本部で開かれていた核兵器禁止条約の第2回締約国会議が「人類の存亡に関わる核兵器の脅威に対処し、禁止と全廃に取り組む」と誓う政治宣言を採択して閉幕▽広島市の松井一実市長が、平和記念公園と姉妹公園協定を締結した米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園を訪問

 4日 国連総会本会議が、日本が毎年提出している核兵器廃絶決議案を148カ国の賛成で採択。ロシアによるウクライナ侵攻と核の威嚇で「核使用の恐れは冷戦の最盛期以降で最も高まっている」と警鐘を鳴らす

 6日 国重要文化財に指定される広島市の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」を巡り、広島県が全4棟のうち1号棟を平和学習拠点とするなど将来的な活用イメージを公表。うち県所有の1棟を市に無償譲渡した上で一定の負担を求める案があると説明

 8日 国際賢人会議の第3回会合が長崎市で開幕し、核兵器廃絶への道筋を保有国と非保有国の有識者が議論。2日目の9日は岸田文雄首相も参加▽広島市が原爆資料館のチケットのオンライン販売を2024年2月中旬にも始める方針を表明。入館待ちの解消を図る

 13日 広島市の広島大本部跡地にある被爆建物の旧理学部1号館を巡り、市が3階建ての正面棟の前半分を保存し、背後に同じ階数の建物を新築する方針を表明。概算費用は当初の約3倍の63億円を見込む

 18日 北朝鮮が首都平壌付近から日本海側に固体燃料型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を高角度のロフテッド軌道で発射。7月に続き長射程の発射能力を誇示

(2023年12月31日朝刊掲載)

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