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70年代に米軍岩国基地近くで4年間営業の喫茶店 「ほびっと」50年 集い一冊に

反戦と平和へ 歩みを後世に

 1970年代に岩国市の米軍岩国基地近くで4年間だけ営業した喫茶店「ほびっと」の関係者たちが、開店から50年の2022年に開いた集いを本にまとめた。ベトナム戦争が泥沼化した当時の反戦運動やそれぞれの歩みを振り返った。「若者たちが平和を考え、活動した場があったことを知ってほしい」としている。(有岡英俊)

 反戦米兵を支援する京都、福岡の学生たちが72年2月に店を開き、76年1月の閉店まで全国の若者や若い軍人たちが通った。「ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)」運動の一拠点となり、若者たちは開店前の71年5月、米軍機の離陸を阻もうと基地近くでたこ揚げをした。

 集いは22年5月に岩国市内であり、常連客たち約30人が全国から参加した。初代マスターの故中川六平さんの思い出や、開店から3カ月後に過激派との関連を疑われた警察の家宅捜索…。自費出版した本では、約3時間半にわたる集いの発言を全て収録した。米空母艦載機約60機の移転に伴い、戦闘機が倍増した岩国基地や街への思いも詰まっている。

 集いの翌日、「NO WAR」と書いた横断幕を掲げ、岩国基地周辺をデモ行進した写真や、集いに参加できなかった仲間たちからのメッセージも掲載している。

 中川さんを継ぎ、閉店までマスターを務めた岩国市の冨田裕明さん(75)は「日本の防衛力がどんどん強化される今、50年の集いは今できることを考える機会になった」と振り返った。常連客だった同市の児童文学作家の岩瀬成子(じょうこ)さん(73)は「それぞれの反戦活動やその後の50年をどう生きたか、市井の人々の意義のある記録」と話す。

 A5判、117ページ。2千円。ほびっと元店員の鷲野正和さん☎090(1081)0437。

(2024年1月11日朝刊掲載)

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