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「浅野文庫」に専門図書館 広島市計画 市長公舎廃止後の跡地

 広島市立中央図書館(中区)所蔵の「浅野文庫」や広島ゆかりの文学資料の保存・活用に向け、市が専門図書館の整備を計画していることが11日、分かった。老朽化した市長公舎(同)を廃止、解体し、跡地に建てる。概算事業費として約37億円を見込み、2029年度の開館を目指す。

 複数の関係者によると、整備の基本計画案では、新施設の1~3階に収蔵庫や閲覧室、展示コーナーなどを備える。旧広島藩主浅野家から寄贈されて原爆被災を免れた和漢の古書や絵図のほか、原民喜、峠三吉、鈴木三重吉たちの文学資料を一体的に保管、活用。近世から現代までの郷土文化を体系的に伝える専門図書館となる見通し。

 市長公舎は1973年に完成。浅野家別邸の庭として造られた縮景園に隣接し、敷地は約1900平方メートルある。松井一実市長は就任した2011年から入居しているが、全国の20政令指定都市では維持や改修にかかる費用を考慮して廃止したケースが相次ぎ、現在、市長公舎を所有するのは広島と横浜の2市だけとなっている。

 市は公舎を廃止して26~28年度に解体し、新施設にも着工したい構え。財源確保へは、企業や個人の寄付のほか、国の補助金の活用も検討する方針とみられる。

 市立中央図書館はJR広島駅前(南区)の商業施設「エールエールA館」に移転し、26年度の開館を予定している。これに伴い、市は浅野文庫や文学資料の保存先を中央図書館とは別に検討する考えを示していた。(野平慧一)

(2024年1月12日朝刊掲載)

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