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小頭症被爆者の写真寄贈 「きのこ会」協力で撮影 広島の重田さんと横浜の菅沼さん 資料館に3000枚 「記録を後世に」

 写真館経営の重田雅彦さん(79)=広島市安佐北区=と元フリーカメラマンの菅沼清美さん(77)=横浜市保土ケ谷区=が、原爆小頭症の被爆者たちの日常を捉えた写真約3千枚のネガを原爆資料館(中区)へ寄贈した。被爆21年後から数年間に当事者と家族でつくる「きのこ会」の協力で撮影した、大半は未公開の記録。資料館はデジタル保存する。(頼金育美)

 2人は、東京の大学で写真を学んだ同級生。胎内被爆し、生まれつき知的、身体障害がある小頭症について本で知ったという。「反戦や反核を訴える『ヒロシマ』を体現している人たち」(菅沼さん)と、入学した1966年から70年代前半にかけ、65年に発足したきのこ会を通じ、広島市など各地に暮らす約10人を被写体に取り上げた。

 寝ている母親のそばにたたずんだり、膝の上で耳かきをしてもらったり。親子で寄り添いながら暮らす様子をモノクロで表現している。きのこ会の平尾直政事務局長(60)は「多くの家族がメディアに出るのを望まない中、学生2人が許可を得て生活に入り込みながら撮影した貴重な写真」と語る。

 2人は写真を発表する機会はほぼなく、保管してきたという。先月に、重田さんが約千枚、菅沼さんが約2千枚のネガを寄贈した。資料館は写真をデジタル化し、活用方法を検討する。

 重田さんは2012年にも会の活動や家族を写したネガ約5千枚を寄贈している。「小頭症の被爆者たちの記録が後世に残ることで、核兵器廃絶の道が開ければいい」と願っている。

(2024年1月16日朝刊掲載)

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