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被爆前 広島の街並み・市民の営み 写真1万3000点 市公文書館へ ウェブ上で順次公開

 被爆前に広島市で写真館を営んでいた松本若次さん(1965年に76歳で死去)が撮影した1万3千点余りの写真が、遺族から市公文書館へ寄託された。原爆で消えた街並みや市民の営みを伝える貴重な資料。同館は2024年度に整理し、ウェブ上で順次公開する。

 松本さんは地御前村(現廿日市市)に生まれ06年に渡米。写真技術を身に付けて帰国し、27年に紙屋町(現中区)交差点付近に写真館を開業した。42年に地御前村に疎開したため写真は原爆による焼失を免れ、相生橋周辺のパノラマ写真は原爆資料館(中区)の壁一面に展示されている。行き交う路面電車や露店、カキ打ちなどの日常を捉えたカットもある。

 市公文書館は昨年12月21日に、松本さんの孫の大内斉(ひとし)さん(66)=中区=と寄託契約を結んだ。撮影日時や場所、内容を精査して目録を作り、家族の私的な写真や個人の肖像写真を除いて、デジタルアーカイブ・システムで公開する。

 大内さんは「祖父の写真を通じ、戦争や核兵器によって人々の日常が奪われることが決してあってはならないと、多くの人に感じてほしい」と願っている。(宮野史康、金崎由美)

(2024年1月19日朝刊掲載)

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