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「被爆者の声 耳傾けて」 核禁条約発効3年でICAN事務局長 まずオブザーバー参加を

 核兵器禁止条約の発効から3年の22日、条約制定に尽くした非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のメリッサ・パーク事務局長(57)は東京都内で記者会見した。「岸田文雄首相はまず、条約にオブザーバー参加してほしい」と求めた。

 米国と同盟関係にある母国オーストラリアなどもオブザーバー参加したことを会見で強調。来春の第3回締約国会議では、核実験の被害者救済などが議題になるとし「広島、長崎の被爆経験がある日本は議論に貢献できる」と述べた。

 発効3年に合わせて来日し、広島、長崎両市を初めて訪れた。被爆者との面会で核廃絶への思いを強め、「世界の指導者にもその声に耳を傾けてほしい」と訴えた。核抑止に基づく安全保障は「幻想だ」とも説いた。

 条約の加盟は70カ国・地域に達した。林芳正官房長官は22日の会見で日本政府の立場について「核保有国が一カ国も入っていない。保有国を関与させるよう努力する」と述べ、改めて消極的な姿勢を示した。

 日本被団協はこの日、政府に条約参加を求める声明を外務省などに送った。田中熙巳代表委員(91)は取材に「米国追従をやめ、条約に加わるのが被爆国の責務だ。超党派の国会議員に条約参加を働きかけていく」と話した。(樋口浩二)

(2024年1月23日朝刊掲載)

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