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被爆ピアノで平和の種まき 広島市民有志、「80年」に向け市内200カ所巡回

安佐南で初日 慰霊碑前で演奏会

 音楽で原爆犠牲者たちを追悼しようと、広島市の市民有志が23日、安佐南区の慰霊碑前で被爆ピアノの演奏会を開いた。被爆80年となる2025年8月までかけて、市内全8区の約200カ所を巡る企画の初日。平和を願う調べを子どもたちと響かせた。

 「ひろしま被爆ピアノ友の会」の手島秀昭代表(80)=安佐南区=と、会のメンバーで調律師の矢川光則さん(71)=同=による初の試み。爆心地から約1・8~3キロで被爆したアップライトピアノ3台を碑前に持ち込んで、各地の住民に演奏を依頼する。

 この日は、安佐南区の2カ所で開催。戦没者や原爆犠牲者を悼む安忠魂碑の前では、地元保育園の保育士が3曲を奏で、うち「アオギリのうた」「野に咲く花のように」は園児29人が合唱した。国友遥ちゃん(6)は「音を聞いて幸せな気持ちになって」と願っていた。

 企画では、最後に平和記念公園(中区)の原爆慰霊碑そばでの演奏を予定する。手島さんは「地域の力を借りながら巡り、碑を思い返してもらいたい」。矢川さんも「物言わぬピアノだがメッセージ性がある。平和の種まきになれば」と期待している。(頼金育美)

(2024年1月24日朝刊掲載)

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