×

ニュース

政府「道義的役割果たせず」 ICAN事務局長、広島初訪問

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のメリッサ・パーク事務局長(57)が19日、初めて広島市を訪れた。平和記念公園(中区)で原爆資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花。「核兵器に頼る安全保障政策を取る限り、核攻撃を受けた唯一の国として道義的な役割を果たせない」として、日本政府に核抑止からの脱却を求めた。

 パーク氏は資料館を約45分見学し、芳名録に「私たちの美しい地球に核兵器の居場所はないと広島が示している」と記帳。ICANの川崎哲(あきら)国際運営委員と共に慰霊碑に白い花輪を手向け、手を合わせて黙とうした。広島国際会議場では被爆者の笠岡貞江さん(91)=西区=の証言を聞いた。

 報道各社の取材に「今日何を感じたか伝えるのはとても難しい。圧倒された。人間が人間にこのようなことをできるとは」と胸に手を当てた。

 先立って市役所で松井一実市長と面会。岸田文雄首相が創設し、核兵器廃絶の道筋を議論する国際賢人会議に関し「核抑止がもたらす危険性を取り上げるべきだ」と述べた。夜は原爆ドーム対岸で22日に発効3年を迎える核兵器禁止条約への参加を求めるイベントに参加した。(宮野史康)

(2024年1月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ