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回天頭部など光市文化財に 海軍工廠関係資料 後世へ

 山口県光市が所有する太平洋戦争末期の特攻兵器「回天」の一部を含む「光海軍工廠(こうしょう)関係資料群」(7点)が市有形文化財に指定された。回天の一部は、約50年前に市内の海岸で見つかった頭部(直径約1メートル、長さ約2・2メートル)で、市文化センター(光井)で展示されている。

 1944年11月、光井の光海軍工廠の東端部に光基地が開設。回天は光基地に配備され、終戦時に市内の虹ケ浜海岸で埋設処分された。

 今回指定された頭部は市が73年に掘り起こした。さびていたため黒く塗装し直し、2011年から同センター2階の歴史民俗展示室で公開している。

 市はこれまで訓練用の回天の一部として展示していたが、再調査の結果、注水口や排水口がないことなどから実戦用だったと判明した。市教委文化・社会教育課は「実戦用に製造された回天の頭部については本資料以外に現存していない」としている。

 昨年12月21日の教育委員会会議で回天の頭部のほか、工廠に掲げられた門札、小型魚雷の後部、配置図など6点も市有形文化財に指定された。同課は「昭和前期の市の歴史を証言する貴重な資料として後世に継承するため、展示活用を図っていく」としている。(久行大輝)

(2024年1月26日朝刊掲載)

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