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被爆体験伝承にAI活用 広島市調査へ 原爆資料館で利用想定

 被爆の記憶の継承と発信へ、広島市が人工知能(AI)の活用について新たに調査研究を始めることが25日、分かった。被爆者の証言動画や体験記のデータベースを基に、被爆状況などの質問にAIが答える形を想定。2025年の被爆80年事業に位置付ける。

 複数の関係者によると、AIに文字や音声で被爆者の被爆状況などを尋ねれば、該当する体験記や証言動画、関連写真が示されるようにする。原爆資料館(中区)での利用を想定している。一方、虚偽の被爆証言を創作する危険性を懸念し、「チャットGPT」に代表される生成AIを使うかは慎重に判断する。

 2024年度から、広島市立大(安佐南区)やヒロシマ平和研究教育機構(中区)の専門家、AI開発会社などと具体的な手法や機能を検討したい考え。関連経費を当初予算案に盛り込む方針という。

 市によると、被爆者のうち市の「被爆体験証言者」に登録しているのは31人で、平均年齢は86・5歳(1日現在)。被爆者の証言を直接聞く機会が減る中、市は第三者や家族が体験を語り継ぐ伝承者の養成事業も進めている。(宮野史康)

(2024年1月26日朝刊掲載)

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