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壁画 デジタル保存へ 広島拘置所 市が方針固める

 広島拘置所(広島市中区)の建て替えに伴い撤去される外塀の壁画について、市が写真を撮影してデジタル保存する方針を固めたことが26日、分かった。現物保存も検討していたが、制作した画家の故入野忠芳さん(2013年に73歳で死去)の遺族たちの要望を踏まえて判断したとみられる。

 複数の関係者によると、専門業者に委託し、江戸時代の広島城下の風景などが描かれた縦2メートル、全長180メートルの壁画を複数枚のカットに分けて撮影し、保存する。画像の活用策は今後、検討する。関連費用を24年度当初予算案に盛り込む方針という。

 壁画は広島城築城400年記念事業として市が入野さんに制作を依頼し、1989年に完成した。管理する市は当初、拘置所の外塀の撤去に伴いデジタル保存する方向だったが、松井一実市長が22年11月に「現物保存する方向で関係者と話し合いたい」と表明した。

 その後、入野さんの遺族側と協議していたが、多額の費用がかかるため最終的に現物保存を断念した。遺族側は画像を陶板に焼き付けて残すよう市に求めている。(野平慧一)

(2024年1月27日朝刊掲載)

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