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学生や留学生 数百人を支援 「ヒロシマの心」国内外で発信を 広島市24年度 研修や資料貸し出し

 広島市が2024年度に、被爆の惨禍を国内外で伝える若者の支援事業を始めることが29日、分かった。広島県内の大学生や留学生たち数百人を対象に原爆被害の実態を学ぶ研修を開いたり、関連資料を貸し出したりする。核兵器廃絶を願う「ヒロシマの心」を理解した上で、発信できる人材を増やす。(宮野史康)

 複数の関係者によると、研修には原爆資料館(中区)の見学や被爆者の証言を組み込み、展示会の開催、交流サイト(SNS)での情報発信などの手法も紹介する。貸し出すのは、被爆時の様子を疑似体験できる仮想現実(VR)ゴーグルや、被爆証言のDVDなど。市は関連経費を24年度当初予算案に盛り込む方針という。

 広島、長崎両市は1995年度から海外で「原爆展」を開いている。ほかに、広島県内から各国に赴く国際協力機構(JICA)の海外協力隊員による現地での原爆関連展示などの取り組みがある。市はこれらに加え、新たな支援事業により、若者が留学先や帰省先、母国で主体的に被爆の実態や平和への願いを発信するよう期待している。

 また市は、岸田文雄首相の提唱により国連が設立した、ユース非核リーダー基金の研修参加者を今夏にも受け入れる方向で検討している。

 研修は23年12月にオンラインで始まり、1期生として核兵器保有国を含む63カ国から政府や国際機関、非政府組織(NGO)の職員、学生たち18~29歳の100人が受講。うち50人が1週間ほど広島、長崎を訪れる予定で、「核兵器のない世界」へ行動する未来の指導者の育成に協力する。

(2024年1月30日朝刊掲載)

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