×

ニュース

在韓被爆者健康管理手当 民間記録で支給方針 広島市

■記者 東海右佐衛門直柄

 在韓被爆者への健康管理手当の未払い問題で、広島市が初めて、民間記録に基づき9月下旬にも支給を始める方針を固めたことが17日、分かった。近く韓国原爆被害者協会の金(キム)龍吉(ヨンギル)会長を市役所に招いて説明する。

 被爆者の健康管理手当は1974年の旧厚生省通達で、日本を出国した場合の支給が打ち切られた。しかし、支給を求める在外被爆者の訴訟で国は敗訴し、2002年、通達を廃止。5年間の時効の主張も07年2月の最高裁で退けられ、全期間についてさかのぼっての支給が決まった。

 ただ、手当支給に関する市や国の記録は約10年で大半が廃棄されている。日韓両政府の事業ではなく、民間の招きで渡日治療を受けた在韓被爆者は公的記録がないため証明が難しく、一部で未支給が続いていた。

 この問題では、韓国原爆被害者協会と在韓被爆者渡日治療広島委員会が昨年7月、渡日治療に関する保存資料を広島市に提出した。市は未払いの可能性が高い延べ約300人について書類を精査。厚生労働省もこれらの民間記録に基づく支給を了承した。支給対象者を最終確認しており、まず一部について9月下旬に大韓赤十字社を通じて支払われる見通しである。

(2009年7月18日朝刊掲載)

関連記事
在韓被爆者 支援強化を 渡日治療広島委が総会 (09年6月 1日)
原爆症認定を代理申請 在韓被爆者支援 広島の市民団体(09年5月25日)
在外被爆者への未払い手当 支給開始1年 (08年6月27日)

年別アーカイブ