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社説・コラム

朝凪(あさなぎ) 危うい引用 続けますか

 「教育勅語(ちょくご)を暗写出来るやうに覚へた」。1945年2月、13歳の少年が日記につづった一文だ。国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で復刻版を読んだ。

 広島市の松井一実市長が新規採用職員の研修資料に「教育勅語」を引用していることに、被爆者や市民団体が反発している。文章の一部を引用して理解していいのだろうか。その危うさについて専門家に聞き、記事にした。反響は大きかった。

 日記の少年は、8月6日に入市被爆。90歳を過ぎた今は病を押して体験を証言している。日記を読んだと伝えると、幼少期に覚えた教育勅語に基づいていかに戦争が美化され、「お国のため」命をささげることを刷り込まれたかを教えてくれた。

 市長は引用を続けるという。このような声は届いているだろうか。(平和メディアセンター・新山京子)

(2024年2月9日朝刊掲載)

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