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米軍機、浜田で空中給油か 岩国基地所属 住宅地から撮影 昨年12月

国内では事故 市「市民に不安」

 米軍岩国基地(岩国市)の海兵隊所属の軍用機が浜田市内の陸地上空で空中給油をしたとみられることが11日までに、分かった。同市内で男性が写真を撮影した。米軍機の空中給油を巡っては墜落事故が国内で起きており、2017年に当時の稲田朋美防衛相が訓練について「陸地上空では実施しないことを確認している」と国会で答弁している。今回の給油が通常運用か訓練かは不明だが、浜田市は「市民に不安を与える行為」としている。(黒田健太郎)

 23年12月5日正午ごろ、浜田市中心部の住宅地で、男性が南の上空を飛ぶ3機を発見し、写真を撮影した。1機から別の1機にホースを延ばして給油しているとみられる様子が写っていた。男性は「初めて見た」としている。3機は東から西へ飛び去ったという。

 航空機を追跡する民間ネットワーク「フライトレーダー24」の記録では同時間帯、米海兵隊所属のKC130空中給油機が岩国基地発着で、浜田市内や周辺上空を何度も旋回したことが確認できる。

 飛行と空中給油について岩国基地報道部は「必要不可欠な運用の詳細には言及していない」と回答した。中国四国防衛局は「米軍個々の運用を承知しておらず、答えられない」とする一方、米軍が日本の陸地上空で空中給油する場合は運用上必要なケースと理解しているとする。

 同基地を監視する岩国市の市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典事務局長は撮影された写真を「岩国所属のKC130とFA18とみて間違いない。浜田と岩国の距離を考えると、運用上の給油ではなく訓練とみられる」と指摘する。

 同基地所属KC130の空中給油を巡っては18年、高知県沖で給油中のFA18ホーネット戦闘攻撃機と接触し、6人が死亡。22年には甲府市内の陸地上空で繰り返したことが確認されている。

 米軍の動向に詳しい沖縄国際大法学部の野添文彬准教授(国際政治学)は写真を「基地が攻撃を受けたような厳しい状況の中、臨時の拠点を設けることを想定した訓練の一環とみられる」と分析。「山地を飛ぶのは相手のレーダーに映りにくくするため」とみる。

 浜田市は大半が米軍訓練空域「エリア567」にあり、同基地所属機の低空飛行訓練とみられる騒音が相次いでいる。市防災安全課は「危険を伴う訓練が通告なく行われたとみられることに驚いた。国に対応を求めていきたい」としている。

(2024年2月12日朝刊掲載)

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