家族伝承者が初 広島県外で講話 尾形さん 相模原の中学に派遣 祖父の入市被爆体験語る
24年2月10日
広島市が養成し、家族から聞き取った被爆体験を語り継ぐ「家族伝承者」が9日、初めて広島県外に派遣された。東区の会社員尾形健斗さん(33)が相模原市の市立中央中を訪問。祖父の松原昭三さん(95)=東区=に代わり、2年生約220人に「あの日」の惨状を伝えた。
尾形さんは勤務先を休んで相模原市に入り、中央中体育館での講話に臨んだ。1945年の原爆投下翌日。叔母を捜すために東広島市から入市被爆した祖父の記憶をたどり、約1時間話した。
あちこちに遺体が転がる焼け野原に立ち、焦げ茶色のあばら骨がむき出しになった人を見たなどと紹介。「怖くて頭がまひし、何も考えられなくなった」との祖父の思いを代弁し、生徒は静かに聞き入った。
広島市への修学旅行を6月に控える中央中がインターネットで家族伝承者を知り、市に派遣を求めた。初めて被爆体験を聞いたという唐澤玲さん(14)は「川に遺体が連なったとの話に衝撃を受けた。今も世界で戦争は続いており、自分に何ができるかを考えたい」と話していた。
家族伝承者は市が2022年度に養成を開始。1期生51人のうち研修を終えた15人が市内外で活動している。(樋口浩二)
(2024年2月10日朝刊掲載)
尾形さんは勤務先を休んで相模原市に入り、中央中体育館での講話に臨んだ。1945年の原爆投下翌日。叔母を捜すために東広島市から入市被爆した祖父の記憶をたどり、約1時間話した。
あちこちに遺体が転がる焼け野原に立ち、焦げ茶色のあばら骨がむき出しになった人を見たなどと紹介。「怖くて頭がまひし、何も考えられなくなった」との祖父の思いを代弁し、生徒は静かに聞き入った。
広島市への修学旅行を6月に控える中央中がインターネットで家族伝承者を知り、市に派遣を求めた。初めて被爆体験を聞いたという唐澤玲さん(14)は「川に遺体が連なったとの話に衝撃を受けた。今も世界で戦争は続いており、自分に何ができるかを考えたい」と話していた。
家族伝承者は市が2022年度に養成を開始。1期生51人のうち研修を終えた15人が市内外で活動している。(樋口浩二)
(2024年2月10日朝刊掲載)