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被爆2世画家 亡き両親描く 南区出身の増田さん 初めて肖像画に 中区で18日まで個展

 広島市南区出身で被爆2世の画家の増田正昭(まさかず)さん(71)=京都市=が、被爆体験を語らぬまま亡くなった両親の肖像画を初めて描き上げ、広島市中区での個展で披露している。多くの被爆者の作品を手がけてきたが、2人については「あの日」を知らずに表現するのをためらっていたという。広島のゆかりの地をたどり、絵筆を執った。(頼金育美)

 肖像画の父信憲(のぶかず)さん(2001年に80歳で死去)はスーツ姿で前を見据える。優しかった母敏子さん(14年に89歳で死去)は、穏やかにほほ笑む。増田さんにとって広島での個展は初めてで「両親がようやく『里帰り』できた」と喜ぶ。

 18年から各地の被爆者を訪ねて証言を聴き、油彩の肖像画を贈る活動をしている。一方で、両親については体験を聞いたことがなく、描いていなかった。

 「家族の被爆の歴史を知りたい」との思いは募り、被爆者健康手帳の申請書類を調べ、軍隊にいた父、呉市に疎開していた母ともに親を捜して入市被爆したと分かった。広島市内の両親の実家跡や墓も巡り、昨年9月に絵を完成させた。

 個展は18日まで中区上八丁堀のギャラリーGで開催。被爆者や2世の肖像画など約80点を並べる。「生き方がにじみ出る、しわまで描いた。被爆者の思いを感じてほしい」と願う。営業時間は午前11時~午後7時(18日は午後4時まで)。

(2024年2月15日朝刊掲載)

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