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[ビキニ被災70年] ウォッジェ環礁 代表団初訪問 日本原水協 環境など調査へ

 日本原水協は、米国の核実験が繰り返された中部太平洋マーシャル諸島へ、25日から3月10日にかけて代表団を派遣する。米国に被害地として認められていないウォッジェ環礁を初めて訪問先に組み込み、環境や住民の健康状態を調べる。静岡県のマグロ漁船第五福竜丸が被曝(ひばく)したビキニ環礁での水爆実験から3月1日で70年。核被害の解明と救済に向けた取り組みが続いている。

 代表団は日本原水協や愛媛県原水協の役員、医師たち5人。第五福竜丸とともに被曝した高知県の漁船の元乗組員の遺族たちも一部の日程に同行する。首都マジュロで1日にあるビキニ被災70年の式典に参加し、翌2日から5日間の予定で、北約300キロにあるウォッジェを訪れる。

 米国は1946~58年にビキニ、エニウェトク両環礁で67回の核実験を実施。両環礁を含む4環礁については被害の責任を認め、補償金を支払った。ただ、マーシャル諸島政府は放射線の影響はより広範囲に及んだと主張。ウォッジェを含む13環礁に「重大な放射性降下物が降った可能性がある」とする米公文書(草案)もある。

 原水協の代表団は、ウォッジェの住民から実験後に動植物に異変が生じなかったか聞き取ったり、健康状態を確認したりする。土田弥生事務局次長は「ウォッジェの住民を支援し、被害の実態を把握したい」と強調。マジュロでは政府関係者や国会議員とも面会し、マーシャル諸島が批准していない核兵器禁止条約への理解を呼びかけることにしている。(下高充生)

(2024年2月17日朝刊掲載)

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